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『 日本拳法 十法 』


2009年(平成21年)4月
『 日本拳法 十法 』
                                   
                                    理事長  主席師範  猪狩元秀
会員の皆様 新年度を迎え、心新たに「志」を立てられた事と存じます。本年度も稽古に、より一層精進され、自分自身を高め、指導員を志す者、指導者は より一層の「十法」 を修得し、指導者としての「自己尊厳の確立」即ち人間としての“誇り”と“自信”を高めて下さい。
今年度の「心得」は日本拳法を修業する上で、正しく修得する為の「日本拳法十法」を毎月一法づつ説明して参ります。
 日本拳法はこの十法により構成されています。会員の皆様にはこの十法を「修得しようと努力する人」「知らない人」「知っていてもやらない人」「そんな事どうでも良く実乱撃だけ強ければ良いと思っている人」人、其々です。
 日本拳法創始者 澤山宗海先生の著書「日本拳法」に日本拳法十法という名称はありませんが、其々の名称で説明されています。日本拳法協会は、日本拳法を指導、普及するにあたり、師範会三役会でこの十法を日本拳法の構成要素として行く所存です。

 会員皆様にこの十法を修得して頂く為に今後、各師範、各指導員、そして団体代表者等に伝えていく所存です。この十法の修得こそが指導者としての自覚、責任、義務であると認識しております。
日本拳法の本義を達成する為には「日本拳法五法」の修得が必須であり、次に基本があっての稽古であり、日本拳法の稽古方法としての「日本拳法稽古五法」がある訳です。この「十法」は一如であり、日本拳法修得に必要不可欠であり、先人、先達の積み重ねられて来た「十法」修得にこそ、日本拳法創始者の本意があります。

 私の学生時代は「大学の優勝」「和」が目的であったように思っていましたし、それが適いました。40年後の現状も試合中心のスポーツになっている嫌いがあります。「道」が付く「武道」であるならば勝敗は手段であり、目的は創始者の本意を修得することだと思います。優勝=「道」には成りません。スポーツにはスポーツの良さ、素晴しさがありますが、スポーツとは「競争や遊戯、激しい肉体活動等の為に行なう運動の総称」と辞書には書いてあります。精神性、人間性の事は殆ど書いてありません。それで良いと思う方々はスポーツとして実践すれば良いと思いますが、武道とスポーツを混同している方が多数見受けられます。

 テレビ、新聞、雑誌等にて、武道と称する試合で、勝った瞬間のガッツポーズや、金メダルを噛んだりする選手をよく見かけます。国技と称するものの中でも見かけます。本人達は武道と認識しているのでしょうが・・・・。金儲けの為に来たのかと不愉快になります。それらの人間と対比する適例を書きます。

 プロゴルファーの石川遼選手を思い浮かべて下さい。17歳でプロとしての「作法」が身に付いています。見ていて清々しい氣持ちにさせてくれます。プロスポーツマンとしての「心・技・体」の技と体はまだまだプロとしては未完成のようですが、「心」は一流の人格者です。石川選手の身嗜み、立居振舞等は幼少の頃より親の躾、指導者の教育と良い環境を体感させて来た親力(おやぢから)と思います。決して彼一人では身に付きません。更に、石川選手は洗面所の水廻りが濡れていたり、汚れていると綺麗に掃除をするそうです。使わせて頂いた「感謝の心」と次に使う方への「仁」と「美意識」がそうさせるのでしょう。正しくこの「心」が「道」なのです。プロとして勝敗はこの「心」の次なのでしょう。一日も早い石川選手の「心・技・体一如」を見たいものです。吾々も武道を志す者として見習わなければいけません。

 先人の訓えに「武は礼に始まり、礼に終わる」という訓えがあります。「礼」とは社会生活をする上で、円滑な人間関係や秩序を維持する為に必要な倫理的規範の総称であり、人として従うべき行動様式全般を包括することであり、“形良く整えた作法・儀式”です。礼はその人の「心の形」を表わします。「心は形を求め、形は心を戒め豊かに育む」。車の両輪の如く心と形は調和する事で成り立っております。正しく「心形一如」です。道場の作法において道場、指導者、先輩方に形良く礼をしても、心の中で「敬う心」と「譲る心」の無い又、「敬う心」と「譲る心」があっても形良く整えた作法が出来なければ「心形一如」とは言いません。心の籠った礼を「真の礼」、形良く整った礼を「実の礼」これを「真実の礼」と言います。

 私の処世訓は「謙虚にして、社会に勤勉、相手に誠実、自分に素直」です。この為にも日本拳法五法の初めの「作法」と武道の真髄である心・技・体一如の初めの「心」を武徳の最重要徳目と認識し、その実践を心掛けております。
                                                     招福合掌

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